井上 達夫
ニュースレター:獅子吼の正義―井上達夫の法哲学塾
東京大学名誉教授。専門は法哲学。正義、法の支配、立憲主義、民主主義などをめぐる問題について、独自の視点から論考を発表している。
プロフィール詳細
経歴
1954年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業後、東京大学助手、千葉大学助教授を経て、1991年東京大学大学院法学政治学研究科助教授、1995年より2020年3月まで同教授。現在、東京大学名誉教授。
専門領域
法哲学
注目の著書
リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください
毎日新聞出版/2015年
リベラリズムは何を守ろうとする思想なのか。日本の政治や憲法をめぐる論争を手がかりに、その原理を考える。
悪が勝つのか?――ウクライナ、パレスチナ、そして世界の未来のために
信山社/2025年
ウクライナ侵攻とパレスチナの惨禍を前に、法と正義は無力なのか。侵略や戦争を止めるための現実的な道を問う。
その他の著書
- 『現代の貧困――リベラリズムの日本社会論』(岩波現代文庫、2011年)
- 『憲法の涙』(毎日新聞出版、2016年)
- 『自由の秩序――リベラリズムの法哲学講義』(岩波現代文庫、2017年)
- 『立憲主義という企て』(東京大学出版会、2019年)
- 『普遍の再生――リベラリズムの現代世界論』(岩波現代文庫、2019年)
- 『規範と法命題――法哲学の規範理論的基礎』(木鐸社、2021年)
- 『増補新装版 他者への自由――公共性の哲学としてのリベラリズム』(勁草書房、2021年)
- 『ウクライナ戦争と向き合う――プーチンという「悪夢」の実相と教訓』(信山社、2022年)
ニュースレター:獅子吼の正義――井上達夫の法哲学塾
配信内容
井上達夫と申します。法哲学者として、長年、研究教育に従事し、学術的な著作を刊行するとともに、現代の日本と世界で生起する現実的諸問題についても、言論活動をしてまいりました。
このたび、オーサーシップ社のプラットフォームの場をお借りして、私のニュースレター配信欄「獅子吼の正義――井上達夫の法哲学塾」を開設することになりました。
配信予定
月3本程度
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イラン侵攻論(2)「体制転換支援」論の嘘――イランの民主化を潰し、専制化を促進してきた米国中東政策の欺瞞
前回(3月10日)配信記事、でイラン侵攻を正当化する米国の二つの口実のうち、先制的自衛論を批判しましたが、今回は神権的専制から民主制へのイランの「体制転換」を支援するという主張を検討します。 ※今回、途中から有料記事になります。 目次 * 「体制の民主化」は侵略を正当化できない * 米国の介入動機は専制体制の民主化ではなく、反米体制の除去にある * イランを神権専制国家にしたイラン革命はなぜ起こったか * 三つの湾岸戦争への米国の恣意的介入が強化したイランの神権体制 「体制の民主化」は侵略を正当化できない 本年1月7日に配信したヴェネズエラ侵攻に関する一回目の記事で詳述したように、現在確立している国際法と戦争正義論の基本原則によるならば、「悪しき体制の打倒」
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イラン侵攻論(1)「先制的自衛」論の嘘――イランの核開発能力を米国は潰滅させたはずではなかったのか
今回の配信記事では、高市解散総選挙の問題の教訓を受けて、現代日本において政権交代を阻害している制度的条件の問題を考察する予定でした。しかし、またもや予定を変えざるを得ない「トランプ爆弾」が炸裂しました。 2月末に始まった米国とイスラエルによるイラン侵攻です。国際社会における法の支配は既に瀕死状態にあるのに、これに止めを刺すかのような蛮行です。今後の展開は予測困難ですが、現時点で法哲学者として言えること、言うべきことだけは言わざるをえません。 政権交代の制度的障害をめぐる高市解散論(4)は少し繰り延べし、イラン侵攻問題について最低限のことだけ、先に論じることにします。 ※今号は途中から有料です。 目次 * 新たな湾岸戦争が始まった * 「先制的自衛」概念の危険性・
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【論点の地図】(2026年2月号)高市解散論――政権交代なき民主政治の病理
話題は追っているが、いま何が論点なの?――「論点の地図」は、その月のニュースレターの内容を見取り図として整理する保存版です。主要な論点/構図/経緯/いま注目する点などをコンパクトに押さえます。必要なときに戻ってご参照できます。(編集部) ※今号は途中から有料です。 目次 【1】2月配信の核心 【2】2月の記事(3本) 【3】2月の要旨 【4】主要な論点
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高市解散論(3) 政権交代なき民主政治の病理――持続的権力は持続的に腐敗する
今般の高市解散総選挙の結果は、かねてから私が指摘してきた戦後日本の民主政治の病理を鮮明に例証しています。自民圧勝を喜ぶ人々も、嘆く人々も、誰もこの問題を直視していないようなので、ここで触れておきます。 なお、年明けからずっと「Coffee Break☕」というラベルを「冠」にして記事を配信してきましたが、休憩中の余談とはもはや言えない重いテーマの話が続いているので、今回から「冠」を主題に即したものに変更します。今後は文字通り「こぼれ話」的な余談にだけ「Coffee Break☕
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Coffee Break☕ なぜ高市首相は「やり得」できたのか――「ありえへん自民党大逆転」の真因
「立民滅んで、自民栄える」――令和八年政治劇の衝撃 2月3日、衆院総選挙の5日前に配信した記事「高市首相は『国王大権』を簒奪している」の最後に、解散権を濫用する高市政権に対して、「やり得は許さないよ」というメッセージを投票によって伝えることが有権者にはできると言いました。しかし、日本の有権者たちは高市首相に「やり得」、しかも彼女にとっては笑いが止まらないほどの「ぼろ儲け」をさせてしまいました。 自民党は結党以来最大の316議席、単独で衆議院議席の三分の二以上を獲得しました。公示前の198議席から118議席増です。連立パートナーだった日本維新の会も2議席増やし、
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【論点の地図】(2026年1月号)ヴェネズエラ侵攻の何が問題か――「民主化」の名の侵略を退ける
話題は追っているが、いま何が論点なの?――「論点の地図」は、その月のニュースレターの内容を見取り図として整理する保存版です。主要な論点/構図/経緯/いま注目する点などをコンパクトに押さえます。必要なときに戻ってご参照できます。(文責:編集部) ※今号は途中から有料です。 目次 【1】1月配信の核心 【2】1月配信の記事(4本) 【3】1月の要旨 【4】
井上 達夫, Authorship編集部 ・
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Coffee Break☕ 高市首相は「国王大権」を簒奪している ――「解散は首相の専権」という暴論を駁す
ヴェネズエラ侵攻問題について4回の配信で肝所を論じました。この後、ウクライナ戦争論に戻るつもりでしたが、いま日本政治が、高市首相の衆議院解散による総選挙という突風に曝されています。法哲学者として座視していられない重大な問題がここにあるので、Coffee Breakを延長してこの点を論じます。 「大義なき解散」よりも、「大義なき解散でもやり得できる日本」こそが問題 1月23日、通常国会の冒頭に、高市首相により衆院抜き打ち解散が決行されました。投開票日は2月8日、解散からの期間はたったの16日間で戦後最短、野党に選挙準備期間を与えず「高市人気」が高いうちに自民の議席拡大をめざすという「党利党略」が見え見えの解散です。
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Coffee Break☕ ヴェネズエラ侵攻の何が問題か(4)――トランプの権威主義体制温存戦略が強める「資源の呪い」
石油大国ヴェネズエラは、なぜ貧困と抑圧から抜け出せないのか。トランプ政権の「体制温存」が「資源の呪い」を強める構図を検証する。※今回、途中から有料になります。 目次 * チャベス主義体制の変質――「21世紀の社会主義」から権威主義体制へ * 権威主義体制の政治的利用価値 * 政治体制を不安定化・抑圧化させる「資源の呪い」 前回、最後に述べたように、「21世紀の社会主義」を目指したチャベス政権は、世界最大と言われる豊かな石油資源に恵まれながら国民が窮乏し続ける「
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Coffee Break☕ ヴェネズエラ侵攻の何が問題か(3)――トランプの「ジャイアン主義」を駁す
トランプ政権が掲げる「ヴェネズエラ侵攻の大義」の一つ、石油権益確保論は正当化できるのか。本稿では「ヴェネズエラの石油は米国のものだ」という主張を、法哲学と国際法の観点から検証し、その論理的破綻を明らかにします。※今回、途中から有料になります。 目次 * 「ヴェネズエラの石油は米国のもの」という主張の「哲学的論拠」 * ロックは、トランプ流ジャイアンを支持せず * なぜチャベスは外国石油企業の資産を国有化したのか ヴェネズエラ侵攻について三回目の配信です。トランプ政権が掲げる三つの「大義名分」の最終項目、
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Coffee Break☕ ヴェネズエラ侵攻の何が問題か(2)――麻薬犯罪訴追論と民主化促進論の嘘を暴く
トランプ政権はヴェネズエラ侵攻を「麻薬取締り」と「民主化」で正当化するが、その理屈は国際法と現実の動きに照らして破綻している。「ヴェネズエラ侵攻の何が問題か(1)――目的(独裁者打倒)は手段(侵略)を正当化しない」に続き、その欺瞞を検証する。 ※今回、途中から有料になります。 目次 * ヴェネズエラ侵攻におけるトランプ政権の「大義名分」 * 麻薬犯罪訴追論の支離滅裂 * トランプ政権による「マドゥロなきマドゥロ体制」
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Coffee Break☕ ヴェネズエラ侵攻の何が問題か(1)――目的(独裁者打倒)は手段(侵略)を正当化しない
正月休みの後、本年最初の配信です。ウクライナ戦争論のまとめに入るつもりでしたが、日本でお屠蘇気分の続く中、米国は1月2日深夜から3日未明にかけて、かねてから威嚇してきたヴェネズエラ侵攻とマドゥロ大統領夫妻拘束を実行しました。本年元旦の朝日新聞のオピニオン欄で、国際社会における法の支配の危機に関する私のインタビュー記事が出ました(3日の朝日新聞デジタルに拡充版掲載 https://www.asahi.com/articles/ASTDM4V8YTDMUPQJ00FM.html)。その直後に、トランプがこの危機をさらに深刻化させるこんな蛮行に走り、平手打ちを食らった気分です。これはウクライナ戦争とも関係するので、後者についてまとめる前に触れざるを得ません。Coffee
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ウクライナは支援されるに値する――正義は行われしめよ/ウクライナ戦争(10)
戦時下のウクライナでいま、「汚職との戦い」が揺れています。汚職糾明機関への統制強化に動いたゼレンスキー政権は、国民の猛反発を受けて、直ちにその独立性を回復させ、その後、閣僚や側近の汚職摘発により、内政上の試練へ。さらにトランプが「28項目和平案」で圧力をかけます。※今回、途中から有料となります。 目次 * ウクライナ政界における「汚職との闘い」の一進一退 * 汚職摘発はウクライナにおける民主主義と法の支配の強さの証である * ゼレンスキー政権の試練に付け込むトランプの「28項目和平案」 ウクライナ政界における「
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インド叩きに見るトランプの愚昧――正義は行われしめよ/ウクライナ戦争(9)
ロシア離れを進めつつあったインドに、トランプは「第二次制裁」として高関税を突きつけた。その結果、インドがロシアに再接近し、ウクライナ戦略を自壊させる事態になった。この事例の分析を通じて「ディールの天才」の盲点を追います。※今回、途中から有料となります。 目次 * インドに対するトランプの「第二次制裁」 * インドはロシア離れとウクライナ寄り姿勢にシフトしつつあった * インドのロシアへの再接近 インドに対するトランプの「第二次制裁」 米国がロシアに対する直接的な経済制裁を強化する代わりに、ロシアとの緊密な貿易によりロシアに戦争資金を与える国に対して「第二次制裁」
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トランプはウクライナ戦争を止められるのか?――正義は行われしめよ/ウクライナ戦争(8)
「自分ならウクライナ戦争をすぐ終わらせられる」と豪語するトランプは、本当に平和をもたらせるのか。ウクライナの譲歩条件、西側と米国の役割、トランプ政権の方針転換を手がかりに、「戦争を止める」とは何かを考えます。 目次 * ウクライナ戦争終結の必須条件 * ウクライナに対する西側の「専守防衛」制約の緩和とトランプによる妨害 * トランプの姑息で自壊的な方針転換 ウクライナ戦争終結の必須条件 ウクライナはロシアの再侵攻を実効的に抑止する安全保障を西側が提供するなら、戦線の現状を一旦凍結し、領土問題を政治的交渉の課題にしてよいという譲歩の姿勢を示してきました。 しかし、ロシアは軍事力でウクライナを我が物にしようとする姿勢を崩していません。したがって、ウクライナ戦争を、
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忘れられたロシア国民の力――正義は行われしめよ/ウクライナ戦争(7)
ロシア国民は本当にプーチン政権に従順なのか――。戦争長期化で国内の不満が高まるなか、「国民は動かない」という前提そのものが誤解である可能性が浮上しています。歴史を振り返れば、ロシア社会は限界点に達した瞬間、大きな変革を起こしてきました。いま何が起きようとしているのかを考えます。※今回、途中から有料となります。 目次 * ロシア国民は本当に従順なのか * 反プーチン勢力のクーデターの可能性 * プーチンの「裸の王様」戦略 ロシア国民は本当に従順なのか トランプ米国大統領はやっとプーチンに騙されていたことに気付いて、ロシアに厳しい姿勢を取り始めたと思いきや、この11月20日に、またもやプーチンべったりの「28項目和平案」
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手負いのプーチンが越えられない一線――正義は行われしめよ/ウクライナ戦争(6)
本編のウクライナ戦争論に戻るにあたって一言。トランプ大統領はまたもやロシアに一方的に有利な「和平案」をウクライナに押し付けようとしていますが、これで持続可能な平和を実現できないことは、今後の配信で詳しく論じます。 こんな暗い状況の中で、一つ朗報があります。ウクライナ出身の安青錦(本名:ダニーロ・ヤブグシシン)が、大相撲九州場所で優勝しました。なんと初土俵から14場所目、21歳の若さでの偉業です。どんな強い相手に対しても一歩も引かず、押しの強さと「内無双」など技の多彩さで勝ちぬく安青錦の健闘ぶりは、ウクライナ人の堅忍不抜にして知略無尽な闘魂を証示しています。故国を離れた彼の思いは複雑でしょうが、
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Coffee Break☕ 戦後80年のいま、高市首相発言と戦争責任を問い直す(2)
目次 * 昭和天皇はなぜ東條英機を首班にしたか * 誰も責任を取らない国家 昭和天皇はなぜ東條英機を首班にしたか 太平洋戦争の開戦に至った経緯については膨大な研究蓄積があり、歴史学者ではない私が簡単に答えられる問題ではありませんが、前回紹介した知人の質問に関して言えば、次の事実は、いまほぼ異論のない点かと思います。 昭和天皇は日米開戦を避けたいと思っていました。東條英機は自己の信条としては主戦論者でしたが、他方で、天皇絶対主義者でもありました。昭和天皇は日米開戦回避を皇族政治家たる近衛文麿に託しましたが、軍部の抵抗により、第三次近衛内閣が崩壊すると、開戦回避の最後の手段は、天皇への忠誠心の厚い軍人の東條に軍部を抑えさせることだと考えて、「天皇の御側用人」と言われた木戸幸一内大臣を通じて、東條に開戦回避が天皇の意向であることを伝えた上で彼を首相にしました。陸軍大臣としては第三次近衛内閣を崩壊させた東條も、
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